01 基本公式
Seedance 2.0 は構造化された指示を理解します——誰が、何をするか、どこで、どう撮るか。この章では良いプロンプトを6つの再利用可能な要素に分解し、複数カットの物語をショット番号で組み立てる方法を解説します。この骨格を押さえれば、以降の章はすべてその応用です。
1.1 基本プロンプト公式
すべては一文から始まります。主体と動作が必須の2要素で、残りの4つは必要に応じて足すだけ。頭の中で一度映像を再生してから、公式に沿って書き起こしましょう。
[主体] + [動作] + 任意 [環境] [美学] [カメラ] [音声]
主体 (Subject)
画面の主役——人物・動物・プロダクト。具体的であるほど良い。
動作 (Motion)
主体が何をするか。体の部位と速さ・強さまで書く。
環境 (Environment)
シーンと空気感:場所、時間帯、光、天気。
美学 (Aesthetics)
画風と画質:色調、質感、精細さ。
カメラ (Camera)
フレーミングとカメラワーク:クローズアップ、プッシュイン、パン。1カット1種類。
音声 (Audio)
セリフ、効果音、背景音楽の指定。
日向ぼっこの猫
プロンプト
午後の日差しが差し込む窓辺で、茶トラの猫がうたた寝をしている。しっぽの先が時々ゆらりと動き、そよ風が白いレースカーテンを揺らす。カメラはゆっくりと猫の顔のクローズアップへ寄っていく。心温まる癒し系の空気感、柔らかな自然光、豊かなディテール。
主体+動作の2文から始め、環境とカメラを1文ずつ足せば、それだけで合格点の基本プロンプトです。
1.2 主体と動作の定義
モデルの理解力の上限は動作描写で決まります。手・肩・頭など具体的な部位を指定し、速さや強さを添え、感情は体のディテールで表現しましょう——「不安げ」より「無意識に服の裾を握りしめる指先」のほうが断然伝わります。動作はゆるやかでつながりのある小さな動きを優先し、激しい大きな動きは崩れやすいと心得てください。
バリスタのラテアート
プロンプト
深緑のエプロンを着たバリスタが木のカウンターの内側に立ち、両手でミルクピッチャーを軽く傾け、手首を小さく揺らしてミルクフォームの表面にリーフ模様を描く。描き終えるとカップをのぞき込み、思わず口元がほころぶ。固定のミディアムショット、暖色のカフェ空間、背景は自然にぼける、柔らかな光。
動作は手首や指先まで具体的に書き、感情は「思わず口元がほころぶ」のようなディテールで表現。抽象的な形容詞は使いません。
1.3 ショット分割とカメラワーク
2カット以上の映像なら「カット1 / カット2 / カット3」と番号を振って絵コンテを書きましょう。各カットにカメラワーク・主体の動作・位置の変化を順に書きます。秒数まで厳密に指定する必要はありません。テンポはモデルが物語に合わせて調整します。ただし1カットに指定するカメラワークは1種類だけ——あれもこれも詰め込むと画面が不安定になります。
雨の夜道・3カット
プロンプト
カット1:雨の夜の路地。透明な傘をさした女の子が水たまりの路面を足早に歩く。カメラは横から安定して並走し、ネオンの光が濡れた地面に長い反射を伸ばす。カット2:暖かな光が漏れる喫茶店の前で立ち止まり、傘をたたんで水滴を払う。顔のクローズアップに切り替わり、表情が疲れから期待へと変わる。カット3:ドアを押し開け、ドアチャイムが小さく鳴る。カメラはゆっくり引いて、雨の商店街に灯るひとつの明かりにフォーカスを定める。全編シネマティックな質感、冷たい青い夜と暖色の灯りのコントラスト。字幕・透かしは入れない。
カット番号で時系列を整理し、1カットにつきカメラワークは1種類。最後に画質と制約ワードで締めるのが定石です。
1.4 画質・スタイル・制約ワード
締めの3種のワードはそれぞれ役割が違います。スタイルワードが画風を決め、画質ワードが精細さの下限を守り、制約ワードが仕上がりを締める——「文字や字幕を入れない」「透かしを入れない」という否定の指示は、失敗率を目に見えて下げます。次の実例は3種をすべて盛り込んだものです。
サイバーパンクの雨の路地
プロンプト
サイバーパンク調、寒色系のブルーバイオレットの色彩。雨の夜の細い路地、両側でネオン看板とホログラム広告が明滅し、発光ジャケットを着た人物の後ろ姿がゆっくり路地の奥へ歩いていく。濡れた路面に灯りが映り込む。カメラは滑らかにパンして追う。シネマティックな質感、豊かなディテール、鮮やかな発色、奥行きのある光。文字や字幕は一切生成しない。ロゴも透かしも入れない。
冒頭のスタイルワードで画風を決め、末尾の制約ワードで締める——字幕や透かしの混入を防ぐ鉄板の流儀です。
02 動画の中の文字
スローガン、字幕、吹き出し——Seedance 2.0 は読める文字を画面に直接生成できます。コツは4つを明記すること:何と書くか、いつ出すか、どこに出すか、どんな見た目か。文字は常用漢字・一般的な単語で。難読文字や特殊記号は失敗のもとです。
2.1 スローガンとタイトル文字
画面内のタイトル文字にデザインの腕は要りません。テキスト内容を書き、出現タイミング・位置・スタイルを添えるだけ。フォントの雰囲気はモデルが自動で合わせますが、色や書体を直接指定しても構いません。
[テキスト内容] + [出現タイミング] + [位置] + [出現方式] + [スタイル]
テキスト内容
画面に出す文字そのもの。引用符で一字一句正確に。
出現タイミング
いつ文字を出すか。例:「映像の後半で」。
位置
どこに出すか。例:「画面中央」「下部」。
スタイル
色・書体の雰囲気・動き。例:「明るい黄色の手書き風文字がふわりと浮かび上がる」。
レモンティーの広告スローガン
プロンプト
手描きコミック風。3人の友人がキャンプテーブルを囲み、画像1のレモンティーで乾杯している。和やかで楽しげな雰囲気。映像の後半で画面が徐々にぼけていき、画面中央に「夏限定、さっぱりオンライン。」という文字が浮かび上がる。丸みのある手書き風フォント、明るい黄色、小さく弾む出現アニメーション付き。
商品の参考画像を1枚アップロードしてください。プロンプト中の「画像1」がその商品画像を指します。文字は一字一句正確に書くのが確実です。
2.2 字幕
字幕とナレーションは天然のコンビです。まずセリフを書き、「画面下部にセリフのリズムに合わせて字幕を表示」と指示するだけ。セリフを引用符に入れて正確に書けば、字幕は自動的に音声にそろいます。
宇宙の夜明け・ナレーション付き
プロンプト
ナレーション付きの動画を生成。落ち着いた低い男性の声が言う:「広大な宇宙の中で、私たちの世界はほんの一瞬の光にすぎない。それでもその一瞬の中で、命は全力で咲き誇る。」シーンは満天の星の夜から夜明けへとゆっくり移り変わり、星々がひとつずつ消え、尾根の向こうから太陽が昇り、雲海が金色に染まる。画面下部にセリフと完全に同期した字幕を表示。字幕は白い細めの書体で。
セリフを引用符で囲み、字幕は「セリフと同期」「画面下部」と指定——これで音声と映像がそろいます。
2.3 セリフの吹き出し
マンガ風の吹き出しは、セリフを画面に直接「生やす」表現です。キャラクターが話すと、対応するセリフ入りの吹き出しがそばに現れます。ショートドラマや販促の小劇場に最適。セリフは短いほど決まります。
夕暮れの海辺ラン
プロンプト
画像1の女の子がウェア姿で夕暮れの海辺の遊歩道をジョギングしている。カメラのほうを振り向き、自信たっぷりに笑いながら言う:「あと1キロでゴールだよ!」ミディアムクローズアップに切り替わり、ペースを上げて軽やかに言う:「ゴールはもうすぐそこ!」話しているキャラクターのそばにマンガ風の吹き出しが現れ、対応するセリフが書かれている。暖かな夕日の色調、自然で滑らかな動き。
人物の参考画像を1枚アップロードしてください。セリフを引用符で正確に書けば、吹き出しは話者に自動で追従します。
03 画像リファレンス
百の形容詞より1枚の参考画像。商品写真・キャラクター・ロゴをアップロードし、プロンプトで「画像1」「画像2」と名指しすれば、モデルは素材にそって見た目とスタイルをロックします。アップロード順がそのまま番号になります。この章では2つの基本パターンを解説します。
3.1 多角度の主体リファレンス
商品の回転展示や、キャラクターのシーンをまたいだ再利用は、多角度の参考画像で見た目を固定するのが鍵です。同じ主体を別角度から撮った画像を2〜3枚アップロードすれば、モデルに完全な「顔のプロファイル」が渡り、シーンが変わっても別人になりません。
[画像N]の[主体]を参考に + [シーン描写]を生成 + [主体]の特徴を一貫させる
参照主体
見た目を固定したい主体。「画像N」で対応する参考画像を指す。
シーン描写
新しいシーンで起きること:動作、カメラ、環境。
一貫性
「参考画像と一貫させる」の一文で見た目のロックを強化。
ヘッドホンの360°展示
プロンプト
画像1・画像2・画像3のシルバーのオーバーイヤーヘッドホンを抽出し、真っ白な背景の白い展示台の上に置く。カメラはまずイヤーカップの素材感にクローズアップで寄り、その後ヘッドホンを中心にゆっくり一周回転し、正面・側面・背面をくまなく見せる。製品の外観は参考画像と一貫させる。スタジオ照明、クリーンな画面。
別角度の商品画像を2〜3枚アップロードしてください。「抽出し……一貫させる」が多角度で見た目を固定する定番の言い回しです。
3.2 複数画像リファレンス
複数枚の画像にはそれぞれ担当をひとつずつ割り振ります。キャラクター担当、ロゴ担当、シーン担当——という具合に。アップロード順に「画像1」「画像2」と役割を名指しすれば、モデルが取り違えることはありません。
ネオン都市でロゴ登場
プロンプト
ネオンが瞬く未来都市の夜空を背景に、画像2の女の子を参考に、彼女がホログラム投影付きの銀色の浮遊ランタンを放つ。カメラはミディアムショットからゆっくり引いて、満天のランタンの海を見渡す。画面が徐々にぼけた後、画像1のロゴが浮かび上がり、中央で静止。全体は3DサイバーパンクSFアニメ調、寒色のブルーバイオレット。
ロゴ画像とキャラクター画像の計2枚が必要です。ロゴの登場は画面がぼける転換の直後に置くと、最も印象的に決まります。
04 動画リファレンス
言葉で説明しきれないもの——アクションのテンポ、急降下するカメラワーク、パーティクル演出——は参考動画に任せましょう。モデルは動画の動作・カメラワーク・エフェクトの振る舞いを再現します。あなたは主体とシーンを差し替えるだけ。アップロード順が「動画1」「動画2」の番号になります。
4.1 動作リファレンス
格闘、ダンス、疾走——複雑な動作は文字にすると必ず情報が欠けます。動作の参考動画をアップロードすれば、モデルが振り付けとカメラワークをそのまま再現。キャラクターの外見とシーンはあなたの素材に差し替えるだけです。
二人のアクション対決
プロンプト
動画1の人物の動きとカメラワークを参考に、画像1と画像2の2キャラクターの対決シーンを生成。画像1は左側の人物、画像2は右側の人物。テンポの速い打ち合い、アクションの起伏に合わせたカメラ、背景には激昂したパーカッション。顔は参考画像と一貫させ、動きは滑らかに、硬直させない。
動作の参考動画1本とキャラクター画像2枚が必要です。振り付けは動画、顔は画像——役割分担がはっきりしているのがコツです。
4.2 カメラワークのリファレンス
FPVの急降下や旋回上昇のようなカメラの軌跡は、どんなカメラ用語よりも参考動画のほうが正確に伝わります。モデルは軌跡をなぞるだけ。あなたは新しい視覚の中心とシーンを指定します。
テクノパークへのFPVダイブ
プロンプト
動画1のカメラワークを参考に、未来的なテクノロジーパークのコンセプト映像を作る。画像1のツインタワーを視覚の中心に据え、雲の上から一人称視点で急降下し、ビルの間のスカイブリッジをくぐり抜け、最後は水面すれすれを滑空する。パークの先進性と近未来感を強調。ガラスカーテンウォールが朝日を反射し、映像は滑らかで安定。
カメラワークの参考動画1本とシーン画像1枚が必要です。軌跡を動画に任せるほうが、文字で書くよりはるかに正確です。
4.3 エフェクトリファレンス
パーティクル、光の演出、変身の軌跡——エフェクトの形と動きのロジックを文字で説明するのは至難の業です。実戦の結論はひとつ。文字で指定したエフェクトが思い通りにならないときは、参考動画で指すにかぎります。命中率が一気に上がります。
笛の音色に舞う金の粒子
プロンプト
動画1の金色のパーティクルエフェクトを参考に、画像1の古風な装いの人物が竹笛を奏でる間、同じ金色の粒子が体の周りを取り囲み、笛のリズムに合わせて渦を巻き、集まり、散っていく。顔は参考画像と一貫させ、動きは自然に。全体は古風な武侠映画の質感。
エフェクトの参考動画1本とキャラクター画像1枚が必要です。エフェクトの形は動画で指すほうが、文字を積み上げるより正確です。
05 動画編集
既存の動画をアップロードして、一文で要素の追加・削除・置換、前方・後方への延長、複数クリップの接続を行います。この章の鉄則はひとつだけ。編集タスクでは「参考」なしで「動画1」と直接書くこと——「動画1を参考に」と書くと、編集ではなくリファレンスタスクと誤認されます。
5.1 要素の追加・削除・置換
元の映像をそのままに、足す・消す・差し替える。操作の種類、位置、新しい要素の特徴を書き、最後に「それ以外は変更しない」と添えます。置換の場合は差し替え後の要素の参考画像を1枚足すと、見た目の精度がぐんと上がります。
[動画N]の[時間/位置]に + [要素の説明]を追加/削除/置換
編集操作
追加・削除・置換のどれか。ひとことで操作を明示する。
時間位置
動画のどのタイミングで起きるか。例:「映像の後半で」。
空間位置
画面のどこで起きるか。例:「テーブルの左側」。
食卓にデザートを追加
プロンプト
動画1のダイニングテーブルの上に、苺のショートケーキの皿とホットラテ2杯を追加する。カップからは湯気がほんのり立ち上り、配置は自然で、光の当たり方は元の映像と一致させる。それ以外の内容は一切変更しない。
元の動画を1本アップロードしてください。新要素の出現位置を書き、「それ以外は変更しない」で締めるのがコツです。
缶をスパークリングウォーターに置換
プロンプト
動画1のテーブルの上にある缶飲料を、画像1のガラス瓶のスパークリングウォーターに置き換える。テーブルの光とカメラの動きは変更せず、置き換え後の製品のパースと反射が元の映像に自然に溶け込むようにする。
元の動画と差し替え後の参考画像1枚が必要です。「AをBに置き換える」が最も安定した置換の言い回しです。
5.2 動画の延長
前に延ばしてプロローグを足し、後ろに延ばして物語を続ける。映像・音声のスタイルと主体は自動で引き継がれます。書くのは「新しく追加される部分」だけで構いません。元の映像が再生成されることはありません。
シーンの前日譚を足す
プロンプト
動画1を前方に延長:まず窓越しのオーバーショルダーショット。雨粒がガラスを滑り落ちる。室内に切り替わり、グレーのセーターを着た女の子が温かいお茶のカップを友達の前にそっと滑らせ、柔らかく言う:「まず手を温めて。それからゆっくり話して。」優しい口調、暖色の室内光、静かな空気。
元の動画を1本アップロードしてください。「動画1を前方/後方に延長」と書くだけでOK。「参考」という言葉は入れないでください。
5.3 トラック補完
最初のクリップと最後のクリップを渡せば、中間の欠けたトランジションはモデルが補完します。プロンプトで書くのは継ぎ目で起きることだけ——一陣の風、パーティクルのワイプ、マッチカット。どれも優れた接着剤です。
落ち葉の転換で新シーンへ
プロンプト
動画1。落ち葉が地面に触れた瞬間、金色の粒子が輪になって弾け、一陣の風が画面を吹き抜ける——そして動画2につながる。
動画を2本(冒頭と末尾)アップロードしてください。過渡描写は欠けた中間部分だけ——短く、的を絞るのがベストです。