01 基本公式
Kling 3.0 は構造化された演出指示を理解します:誰が、何をするのか、カメラはどう動くか、どこで、どんなテイストか。この章では良いプロンプトを5つの再利用可能なパーツに分解し、番号付きのショットで複数カットの物語を組み立てる方法を解説します。この骨格さえできれば、以降の章はすべてその応用です。
1.1 基本プロンプト公式
すべては一文から始まります:主体と動作が必須の2ピースで、カメラ・環境・スタイルは必要に応じて重ねます。まず頭の中でクリップを一度再生してから、公式に沿って書き起こしましょう。
[主体] + [動作] + 任意 [カメラ] [環境] [スタイル]
主体
画面の主役——人物・動物・商品。具体的であるほど良い。
動作
主体が何をするか。体の部位と速さ・強弱まで書く。
カメラ
構図とカメラワーク:クローズアップ、プッシュイン、周回——1カット1動作。
環境
シチュエーションと雰囲気:場所、時間帯、光、天気。
スタイル
画調と品質:色調、質感、シネマ感。
早朝の街角カフェ
プロンプト
早朝、街角カフェのテラス席。石畳に朝日が斜めに差し込む中、ベージュのトレンチコートを着た女性が藤の椅子に座って本を開き、こぼれた髪を耳にかける。背景をウェイターがトレイを持って横切る。カメラはゆっくりと彼女の手元のページに寄っていく。静かで温かい雰囲気、ゴールデントーン、豊かなディテール。
主体+動作の2文から始め、カメラと環境を1文ずつ足せば、合格点の基本プロンプトです。推奨設定:5秒・1080p・16:9。
1.2 カメラワークの言語
カメラ用語は Kling 3.0 の得意分野です:プッシュイン、引き、パン、追跡、周回、ダイブ——すべて忠実に実行されます。鉄則はひとつ。1カットに指定するカメラワークは1種類だけ。寄り・周回・パンを一度に積めば、手ブレのような映像を買うだけです。
崖の灯台を周回する
プロンプト
夕暮れの海岸の断崖に立つ赤白の灯台。ちょうどライトが灯り、波が岩壁に砕けて白い水しぶきを上げる。カメラは灯台を中心にゆっくり一周し、海抜の視点から次第に上昇して俯瞰へ。夕日が雲をオレンジと紫に染める。シネマ品質、奥行きのある光、安定した滑らかな映像。
「〜を中心にゆっくり一周」が周回カットの最も安定した書き方。視点の高さの変化を添えると立体感が出ます。周回を完了させるため8秒推奨。
1.3 ショットの時系列
1カットを超える作品には番号付きの絵コンテを:ショット1/ショット2/ショット3——それぞれに内容・主体の動作・カメラワークを書きます。秒数まで指定する必要はありません。テンポはモデルが調整します。あなたの仕事は物語を明確にすること、モデルの仕事はリズムを演じることです。
赤い風船の街めぐり
プロンプト
ショット1:早朝の街の広場。少女が赤い風船を手放してしまい、風船はゆっくりと空へ。カメラは上昇する風船を仰ぎながら追う。ショット2:赤い風船が高層ビルの合間の空を漂い、鳩の群れが横を飛び過ぎる。カメラは横から滑らかに追跡し、朝日がガラス窓にきらめく。ショット3:風船は川面の上へ流れ、静かな水面に映る。カメラはゆっくり引いて街と川の全景に。全編を通じて明るく温かい色調、軽やかな空気感、字幕なし・透かしなし。
ショットに番号を振り、各カット1種類のカメラワークに絞り、最後に画質と制約語で締めます。3カットがゆったり演じられる10秒がおすすめ。
02 ネイティブ音声
効果音とセリフの生成こそ Kling 3.0 の最大の売りです:雨音、風、足音、人物のセリフ——すべて映像と同時に生成され、自動で同期します。アフレコは不要です。書き方も率直で、映像と同じく、音も具体的に書くほど正確に出てきます。この章の2つの例にはネイティブ音声があらかじめ有効化されています。
2.1 環境音
環境音は「指名+レイヤー」で書きます:欲しい音を列挙し、主役と遠景を分ける。雨が主役なら先頭に、遠雷は背景に。何も書かなければモデルが即興します——それが必ずしも望む空気とは限りません。
森の小屋の夜雨
プロンプト
夜、森の中のログハウスのポーチ。窓から温かな黄色い明かりが漏れ、激しい雨が軒と木の葉を打ち、雨水がポーチの縁から筋となって流れ落ちる。カメラは固定で、ポーチの一角と雨のカーテンだけを映す。音声:近くでは木の屋根を叩く密集した雨粒と水たまりに滴る雫の音、遠くで時折低く鳴る雷。静かで癒される雰囲気。
音声は近景の主音→細部の音→遠景の下地の順にレイヤーを指名し、最後に雰囲気の言葉で締めます。5秒推奨。ネイティブ音声は有効化済み。
2.2 人物のセリフ
セリフは「引用符+話者+話し方」で書きます:セリフを一字一句引用符に入れ、話者を外見で特定し、「小声で」「笑顔で」などの演技指示を添えます。リップシンクは自動です——セリフが短いほど口パクと発音が安定します。
書店主のおすすめ
プロンプト
午後の日差しが差し込む小さな書店。丸眼鏡の女性店主が本棚から一冊を抜き取り、カウンターの若い客に差し出して微笑む。「これ、先週読み終わったばかりなんです。結末がきっと気に入りますよ」。客は両手で本を受け取り、表紙を見て笑顔で答える。「じゃあ今夜から読みます」。カメラはミディアムショットで固定、背景は壁一面の本棚、静かで温かい空気。音声:ページをめくる音、自然な音量の二人の会話、遠くの街のざわめき。
短いセリフ2つをそれぞれ引用符に入れ、話者は「丸眼鏡の店主」「若い客」で特定し、音声レイヤーは最後に。8秒推奨。ネイティブ音声は有効化済み。
03 画像から動画
写真1枚と動きの一文で、Kling 3.0 がフレームに命を吹き込みます。重要ルールがひとつ:出力のアスペクト比はファーストフレーム画像に自動で追従します。縦写真からは縦動画、正方形からは正方形動画。アップロード前に切り抜いておけば比率に悩む必要はありません。プロンプトの主眼は「絵の説明」から「動きの説明」へ——絵はもうあるのですから。
3.1 写真に命を吹き込む
画像から動画のプロンプトが書くのは3つだけ:何が動くか、どう動くか、カメラは動くか。写真にないものを無理に足さず、写真にあるものを「目覚めさせる」——なびく髪、流れる雲、まばたきと微笑み。小さな動きが最も安定して決まります。
古い写真のまばたきと微笑み
プロンプト
写真の人物がゆっくりと一度まばたきをし、口元が緩んで優しい微笑みになる。視線はカメラの方向へ。そよ風に耳元の髪がかすかに揺れる。カメラは固定のまま、光と色調は写真本来の質感を引き継ぐ。繊細で自然な動き。
ファーストフレーム画像1枚が必要です。動きだけを書き、「写真本来の質感を引き継ぐ」の一文で画風を固定。出力比はアップロード画像に自動追従します。
3.2 商品紹介
EC商品の紹介動画では2つを書きます:商品の動き(回転・浮遊・傾き)とカメラの合わせ方(周回・寄り)。「商品の外観は画像と同一に保つ」の一文でディテールを固定し、照明と背景を指定すれば、スタジオ撮影級の素材の完成です。
浮遊する機械式時計
プロンプト
画像の機械式腕時計が暗い背景の前にふわりと浮かび、ゆっくりと一回転する。光を受けて文字盤の金属の質感と針のディテールが移ろう。カメラはゆっくり文字盤のクローズアップへ寄り、ガラスの反射を見せる。商品の外観は画像と同一に保つ。スタジオ照明、クリーンで上質な仕上がり。
商品画像1枚が必要です。「一回転+寄りのクローズアップ」は商品紹介の鉄板コンボ。8秒推奨。出力比は商品画像に追従します。
04 要素リファレンス
要素リファレンス(r2v)は2〜4枚の画像でキャラクターと要素の一貫性を固定します:同じキャラの別アングル・別衣装を読み込ませれば、モデルに完全な「顔のプロフィール」ができ、どんな場面に変えても顔が変わりません。プロンプトでは「画像 1」「画像 2」と名指しで参照——参照構文はプラットフォームが自動処理するので、特殊記号を自分で書く必要はありません。ハードルール:参照画像は必ず2〜4枚。2枚未満では投稿できません。
4.1 要素リファレンス公式
要素リファレンスのプロンプトは三段構造:まず「画像 N」で素材を舞台に上げ、新しいシーンで何が起きるかを書き、最後に「一貫性」の一文で締める。アップロード順がそのまま番号順です——1枚目が画像 1、2枚目が画像 2。
[要素:画像 1、画像 2…] + [シーン描写] + [要素] の特徴を一貫させる
参照要素
2〜4枚の画像。「画像 N」でプロンプト内参照。アップロード順=番号順。
シーン描写
新しいシーンで起きること:動作、環境、カメラ。
一貫性
「参照画像と同一に保つ」の一文で外観固定を強化。
ブランドマスコットの日常
プロンプト
画像 1 と画像 2 の青い小さなクジラのマスコットが、明るいパン屋に登場。つま先立ちでカウンターに身を乗り出し、焼きたてのクロワッサンを好奇心いっぱいに見つめ、しっぽを嬉しそうに左右に振る。カメラはミディアムショットからゆっくり表情に寄る。マスコットの外観は参照画像と同一に保つ。温かくほっこりする雰囲気、3Dアニメ質感。
参照画像2〜4枚が必要です(2枚未満では投稿不可)。同じキャラの多角度画像が最も効果的。参照構文は自動で処理されます。
4.2 複数要素の組み合わせ
画像ごとに役割をひとつずつ:画像 1 が主役、画像 2 が相手役、画像 3 が小道具。番号で役割を名指しすれば、モデルの取り違えを防げます——人物と小道具を混ぜてアップする場面では特に重要です。
ふたり旅のワンシーン
プロンプト
画像 1 の男性と画像 2 の女性が、秋のイチョウ並木を並んで歩く。金色の葉が風に舞う中、女性が葉を一枚受け止め、笑いながら男性に見せる。男性はカメラを構えてその瞬間を撮る。カメラは横から滑らかに追跡。ふたりの顔・髪型・服装は参照画像と同一に保つ。暖色系、自然で生き生きとした映像。
参照画像2〜4枚が必要です。二人のシーンでは冒頭で「画像 1=誰、画像 2=誰」を明記し、以後の呼称を統一しましょう。8秒推奨。
05 ロング叙事
Kling 3.0 は3〜15秒の任意の整数秒を連続生成できます。長ければ良いというものではありません:5秒は高速な試行錯誤用、8〜10秒は絵コンテ叙事用、12秒以上は「最後まで演じ切る連続ワンカット」のために——途切れないアクション、完結するセリフシーン。短い尺に収まらないものこそ、ロングの本領です。
5.1 完結する連続ワンカット
長いワンカットのコツは「動作を時間順に並べる」こと:最初に何が起き、次に何が続き、どこで終わるか——短い脚本のように順に書き連ねます。テンポはモデルが調整するので、あなたは矛盾のない動作の連鎖だけを保証すればよいのです。
スケートボーダーの朝の通り
プロンプト
早朝の無人の街の通り。リュックを背負った少年がスケートボードで遠くから滑ってきて、徐々に加速。低い縁石に軽やかに飛び乗り、しばらく滑ってから着地し、そのまま進み、交差点で止まって片足をつき、朝日が昇る方角を振り返る。カメラは終始ローアングルで滑らかに追跡し、朝日が長い影を伸ばす静かな通り。青春感あふれるシネマティックな映像。
動作を「滑走→飛び乗り→着地→停止して振り返り」の順に並べ、カメラワークは追跡の1種類で通します。動作の連鎖に余裕を持たせる12秒推奨。